2012年10月16日火曜日

秋の現場風景

現場事務所入り口に立つ桜の葉も色付き、日々落ち葉となって風に舞う気候になってきました。
朝夕は涼しさを通り越して肌寒さを感じる日も増えてきましたが、やはり作業を開始すると額に汗することに変わりはありません。
スズメバチの往来も盛んになり、やぶ蚊もまだまだ元気のようです。
調査はいよいよ大詰めに近付いてきました。

早朝の登山口。見慣れたとは言え、それなりに美しい景色です。

東側トレンチの掘削が進み、天井石・封印粘土・砕石・礫敷き、そして腐り礫層の関係と構造が明らかになりつつあります。

掘削された断面からいかにたくさんの情報を読み取ることが出来るかが勝負です。
皆さんは何が見えますか???

些細な礫の集まりも、簡単に取り上げてはいけません。

東之宮神社拝殿前からの風景。
犬山城、伊木山を黄金色に輝く木曽川の弧が彩ります。岐阜市方面は濃い靄に覆われて見えません。

2012年10月10日水曜日

作業状況

朝夕はすっかり涼しくなりましたが、日中の気温はまだ25度以上になります。
油断していると大量の蚊に刺されますので、まだまだ蚊取り線香と虫除けスプレーは欠かせません。秋めいてきてから、蚊に加えてブヨや吸血アブ、さらにスズメバチの姿も多く見かけるようになってきたので、気が抜けない毎日です。
 
毎朝最低でもこれだけの蚊取り線香を用意します。赤いものは屋外専用の蚊取りで、厚みが普通の2倍ほどあるので煙も2倍出ます。もちろん、室内での利用は出来ません。

写真撮影のため、現場説明会で使ったビティ足場を1ユニット2段分組み立てて使っています。

調査区壁面の分層作業が開始されました。版築状の堆積なので、分層もかなり細かくなっていますが、墳丘そのものの構築方法解明にもかかわる重要な作業です。

いわゆる小石室の範囲の一部が確定されたようです。

墳丘南側斜面の葺き石の様子。人頭大の河原石や大きな腐り礫をまじえ、チャートの切石がきっちりとはめ込まれています。また、大きな石の隙間には小さめの礫がねじ込まれるように詰め込まれている様子がわかります。横長に配置された大きめの石が並ぶ下辺は、墳丘2段目の基底石であるとのことです。

細かな測量も含め、各作業が順調に進んでいます。

2012年10月4日木曜日

その後の調査風景

同時多発的に、複数の作業を進めています。

調査の様子

西側のトレンチ掘削が終了しました。まだまだ見学客も多く来訪されます。

石槨内では側壁の石積みの図化作業が続けられています。
誠に畏れ多いことに粘土床に寝転がっての作業ですが、とにかく根気の要る作業です。

小石室周辺のトレンチ掘削作業

2012年10月3日水曜日

調査は続く

現地説明会は終わっても、調査はまだまだ続いています。
昭和の調査では明らかにされていなかった石槨の構築方法を探るべく、四方の調査トレンチで本格的に精査を開始。
 
南側のトレンチで、腐り礫の独特な使われ方がわかってきました。

封印粘土周辺の礫敷きも平面的に検出すると壮観です。
規格化された礫(チャートの砕石)の大きさに加え、意図的に配置されたと思われる緑色の切石の様子、それに礫敷きの輪郭を表すように築かれた堤防状の遺構などが見えます。

似たような土質ですが、土色は違います。
厳密に使い分けられた土の種類は、おおまかに把握できただけでも5種類ほどあります。

前方部へと繋がる斜面にも初めてトレンチが設定されました。

本日は大塚先生率いる東京からの団体客が来られました。
まだ足場が残っていたので、調査区の全容を見ていただけてよかったです。

掘削した土の置き場が無いため、土嚢を堡塁状に積んだ内部に仮置きしてあります。

2012年10月1日月曜日

台風の影響は?

台風の影響で、9月30日(日)は午後からの現地説明会が中止になりました。日曜の午後からゆっくり見学しようと計画されていた方を何人か知っていたので残念でしたが、天気ばかりはどうしようもありません。
現場に関しては、ブルーシートによる養生を厳重にしておいたので、さほど心配はしていませんでしたが、今朝見ると数本の木が折れて倒れていたり、展示してあったコンパネが落下していました。
さいわい古墳本体と調査区内への影響は、まったくありませんでした。

小枝や木の葉が落下するも内部には影響なし。

あやうく索道ケーブルに引っかかるところでした

パネルは吹き飛んでましたが画像はパウチしてあるのでだいじょうぶ

2012年9月29日土曜日

現地説明会!

いよいよ現地説明会の当日です。
台風の動きが気になりますが、本日の天気は問題なさそうです。
さて、どれほどの人に来ていただけるのでしょう。

説明表示も済み、まだ無人の石槨をビティ足場から俯瞰しています。
嵐の前の静けさ? 荘厳な雰囲気が横溢しています。重ねて、誠に畏れ多いことです。

現場事務所脇の広場が受け付け会場です。ただいま配布資料などの準備中。

第一グループが説明を受けているところです。
今回はビティ足場での安全を確保するため、25人のグループごとに墳丘に上がっていただくことにしてあります。

足場から俯瞰する全景も素晴らしいですが、東奥壁の1枚岩などは地面に下りないと見えません。
皆さんさまざまな角度からしきりに撮影され、積極的に質問されております。
本日は午後4時までに350人ほどの見学客が訪れたようです。

2012年9月28日金曜日

準備大詰め

現地説明会用の、さまざま&こまごました準備が続きます。

鈴木氏自ら、展示パネルの画像をレイアウトされております。
写ってはいませんが、実はこの周辺蚊だらけ!

順路表示と過去の調査トレンチ画像の掲示。
過去に調査したトレンチの位置に、調査当時の写真を掲示しました。

整備委員会の皆様が来訪され、さまざまな謎を検討されております。

石槨の構築方法を議論されておる様子。

調査担当者である鈴木さんの説明を聞く赤塚さん。

2012年9月27日木曜日

足場完成せる!

見学用のビティ足場設置が完了しました。

ネットや足場板などを利用し、安全対策をしてあります。

大勢の見学客が想定されるので、足場の補強は念入りに行ってあります。

団体の見学客が来られましたので、鈴木氏が拡声器を用いて説明をしておられます。
石槨内部ではまだ精査を継続中しています。


2012年9月26日水曜日

お彼岸の現場風景

日中の気温は已然として30度ほどにもなり、作業をしていると真夏と変わらぬほどの汗をかきますが、季節はいつのまにか秋の彼岸を迎えました。

郊外の田んぼには曼珠沙華が満開になりました。花越しに白山平と東之宮古墳が遠望できます。

ビティ足場に安全ネットを設置しています。

こちら側の昇降階段はまだですか?

石槨周辺の調査では掃除機も活躍しています。

腐り礫の使用方法が明らかにされつつあります。

石槨内部に充填用の真砂土は、ほぼ運搬が終了しました。

夕方までには昇降階段も設置完了!

2012年9月25日火曜日

ビティ足場

現地説明会用の足場組み立てを開始しました。
ビティ足場という建設工事用のものを工夫して使いますが、斜面への設置であることや、さまざまな障害物があり、なかなか簡単にはいきません。
ちなみにこれらの資材は全て人力で山上に運搬してきたものです。
 
はじめに鳥居型建て枠と筋交いを組み合わせて足場の位置を決定します。

ビティ足場は直線的なものしか無いので、直交する辺には別ユニットを組み立てています。

基本構造がほぼ出来上がりつつあります。本日はここまで。

2012年9月24日月曜日

細部の技法

本日は光線の状態がよかったので、再び石槨内部の細部を撮影させていただきました。
実に畏れ多いことです。

昭和の調査で粘土床の断ち割られた部分を特定し、再発掘しました。
移植ごての幅ほどしかないような、極めて細いトレンチです。
当初は1カ所のみと思われたトレンチですが、東と西に2カ所設置されていたことが判明しました。

粘土床直下の礫床部分が見えています

コンパクトデジタルカメラならではの技。
細い細いトレンチに差し込んで、礫床の様子を撮影してみました。

粘土床端部の厚さと礫床の関係がわかります

東奥の一枚岩を再撮影。石の表面が白っぽく見えるのは塩分が結晶化したもの。
脇の礫床にも赤色顔料がみられます。

東小口の石積みの様子

東南角

東小口上半。一部の石は天井石の重みで砕けています。
天井石には顔料が見られません。

北東角下半

北東角上半。砕けた石の様子がよくわかります。

南東角下半。礫床と一枚岩と粘土床、他の石材の関係がよくわかります。


赤塚さん、堀木さんが来られ、鈴木さんとともに天井石の石材について検討されております。

粘土床立ち割のトレンチが極めて細いので、床に寝そべっての作業を余儀なくされております。

おまけの画像:しめじのやうではあるが・・・
この現場には古墳博士や地層博士、石博士や顔料博士らはしきりに来られますが、キノコ博士は居られないようです。